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空き家の管理を怠ることは、思わぬ経済的負担を招く可能性があります。特に、行政から「特定空き家」に指定されてしまった場合、固定資産税が大幅に増額されるという事態に直面することになります。

そもそも固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している限り、毎年必ず支払わなければならない税金です。通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例措置」が適用され、小規模住宅用地(200㎡以下)であれば評価額の1/6、一般住宅用地(200㎡超)であれば1/3に軽減されます。これにより、例えば評価額1,500万円の土地であれば、年間の固定資産税は約3.5万円で済む計算になります。

しかし、空き家が「特定空き家」に指定されると、この特例措置が適用されなくなります。その結果、同じ土地でも評価額の全額に対して課税されることになり、固定資産税は最大で6倍、つまり約21万円に跳ね上がる可能性があるのです。

「特定空き家」とは、国土交通省の定義によれば、放置することで倒壊の危険性がある、衛生上有害である、景観を著しく損なう、または周辺の生活環境に悪影響を及ぼすと判断された空き家を指します。2023年の法改正により、これまでの「特定空き家」に加え、「管理不全空き家」も住宅用地特例の対象外となりました。これは、現時点では問題が顕在化していなくても、将来的に特定空き家になる可能性があると判断された物件です。

空き家がこのような指定を受けると、税負担が増すだけでなく、行政からの指導や勧告、最悪の場合は強制的な除却命令が下されることもあります。さらに、空き家の放置は近隣住民とのトラブルや地域の治安悪化にもつながりかねません。

したがって、空き家を所有している場合は、定期的な清掃や修繕、換気などの基本的な管理を怠らないことが重要です。遠方に住んでいて管理が難しい場合は、不動産管理会社の利用や売却、賃貸などの活用方法を検討することも有効です。空き家は放置すればするほど、経済的にも社会的にも重荷となっていきます。所有者としての責任を果たし、適切な対応を取ることが、将来的な負担を回避する最善の策と言えるでしょう。

参考

空き家の固定資産税6倍はいつから?特定空き家に加え管理不全空き家も対象 | このび by JR西日本グループ